はしかが流行しているときには、次のような和歌を戸口に書いて張っておけば、はしかに伝染らないといわれている。
「もがみがわ ながれてきよき みずなれば あくたはしずむ ぬしはさかえる」
護符、呪符、霊符をつかったまじないの場合、紙に書いた符そのものを飲むように指示されていることがあります。
この場合、粉薬などを包んで飲む目的のために薬局で売られているオブラートに符を書き込んで、それを飲むようにすると無理がありません。
まじないには「午の刻」などの刻限が明示されているものがあります。
かつては日の出と日の入りとで1日を昼と夜に分けた上、それぞれを6等分して12の時間帯を設けていました。
これらの時間帯は、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の「十二支」に割り振られ、そのなかでもいくつかに細分化されました。
「午の刻」は現在の昼の12時をはさんだ2時間程度のことで、「正午」という言葉はその名残りです。
いっぽう、まじないというよりも「呪い(のろい)」の場合には、「丑三つ時」、すなわち深夜2時ごろの闇夜の時間帯が好まれました。
文化人類学者のフレイザーは、まじないを「類感呪術」と「感染呪術」の2つに大別しています。
「類感呪術」は、似たもの同士は互いに影響しあうという発想から出たもので、たとえば雨乞いの際に、神社からいただいた神聖な水を大地に撒いて、実物の雨を真似る行為などが該当します。
いっぽう、「感染呪術」は、いったん他人と接触していた物は、離れていても影響を及ぼしうるという発想で、これは「丑の刻参り」でワラ人形に呪いたい相手の一部であった髪の毛を埋め込んで五寸釘を打つ行為などが該当します。
まじないには不可思議なものが多いですが、よく見ると行為と期待する結果との間に、何らかのつながりがみられることがあります。