いつものスピリチュアルな話とはちょっと異なるが、世の中には身寄りがなかったり、親族と仲違いするかなにかで、どうにも頼み事をできる人がいないという場合だってある。
実はこうしたときにいちばんの悩みどころというのが、自分が亡くなったあとのことになる。
生きているうちは、不自由だとはいっても、物理的に何だってできるわけだが、亡くなってしまってはどうにもならない。
特に、自分の葬儀をどこで執り行うとか、あるいは費用がかかるので葬儀をしないといった選択肢もあるのだが、何にしてもそんなことを亡くなった本人が決められるわけではない。
あるいは大学病院に献体をして、葬儀もそちらでやってもらうという方法だってあるわけだが、それも亡くなってしまってはもはや自分で決めて実行することなどできない。
こうしたときに、弁護士や司法書士などに相談をして、あらかじめ自分が亡くなったあとで、何かしてもらいたいことについての契約を生前から交わしておくという方法がある。
これが死後委任契約とよばれることで、基本的には、亡くなったあとに葬儀をどこでしてほしいのか、納骨はどこにするのか、離れたところに住んでいる親戚の誰に通知をするのか、その他、住んでいるアパートの家賃などの支払い、税金の支払いなどといったことを、死後事務委任契約として、契約書のなかに盛り込んでおいて、その弁護士なり司法書士なりにさせるのである。
亡くなったあとにどんな世界に行くのかというのは常にスピリチュアルな関心をさそうテーマだが、その前に現実のさまざまなことを処理しておかなければ、さすがに未練なくあの世に行くことなどはできないだろう。
生きている以上は、まず行きているうちにできることをやっておくというのも、自分が化けて出ないようにするための、最良の方法ということになるわけだ。