ちょうど平氏がらみの神社に呼ばれて参拝することが多かった時代に、東京大手町の平将門の首塚にも行ったことがある。
行ったというよりも、地下鉄駅の出口を何気なく出たらいきなり目の前に将門の首塚があったというオチだ。
ただ、よくよく調べてみると、
ここには円墳か小型の前方後円墳か、ともかくも将門以前の時代の古墳があったらしいこと、
もともと「将門塚」とよばれていた古墳の墳丘は、関東大震災後に大蔵省の仮庁舎を建てるのに削平されてしまって今はないこと、
将門塚には鎌倉時代に踊り念仏で有名な時宗の他阿上人が記した板碑があったものの現存せず、現在のものは昭和45年になって新しくつくられたものであること、
といったことがわかってくる。
そうすると、怨霊がうずまく心霊スポットのようにいわれていた伝説は怪しいし、「首にならない」とか言ってサラリーマンがカエルの置物をお供えしているのも効果があるのかという話になってくる。
それでは、平将門の首塚は、オカルト的には何の意味もない場所なのかといえばそうでもなさそうで、たしかに重い感じというか、場の空気が違うというか、周りのオフィスビルとはまったく異質な感じがする。
現在は平将門を祀る神田明神と、浅草にある時宗の日輪寺が将門の首塚を奉斎しているというから、その絡みもあるのかもしれないが、やっぱりもともと普通の場所ではなかったのだろう。
平将門の首塚は、御利益を求めて行く場所かといったらそうではなさそうだが、かといって粗略に扱うべき場所でもない、そんなところだろう。