神社で写真撮影をするとバチが当たるとか、御祭神に失礼だとかいう話も聞くが、それでは著名な建築がらみの写真家は全員バチが当たっているのかというと、現実に確認したわけではないが、ふつうに仕事を続けているところからみても、おそらくはそうではないだろう。
これも事情によりけりなのだが、感覚的にいえば、神社の拝殿のように、もともと人間が拝むための場所、要するに人間の世界に属するような場所であれば、それほどには見えない世界からのお咎めはないようである。
名工といわれた左甚五郎を持ち出すまでもなく、神様の宮居をつくる以上は、宮大工らの仕事というのは手を抜くことがないから、拝殿には国宝や重要文化財級の名建築とされるものも多く、つい写真に撮りたくもなるものだろう。
ただし、通常であれば一般人が入り込まなかったであろう聖地など、たとえば、古代の磐座、本殿の中のご神体そのもの、奥宮や禁足地内などでは、拝殿のようなものとは違って、かなりの注意を払う必要があるかもしれない。
また、撮影を神様またはその眷属が嫌がっている場合は、そもそも写真撮影ができないような、何らかのアクシデントが起きる可能性もあるわけだ。
たとえば、カメラのシャッターがなかなか下りず、どうも神社で撮影をするときだけ一時的に故障してしまうみたいだとか、その日に限ってフィルムを入れ忘れて物理的に撮影ができないとか、ベストアングルにどこの誰とも知らない人がとどまっていてどいてくれないとか、まあそのようなものだと思ったら良い。
実のところ、写真がブログなどに掲載されて有名になると、場の雰囲気が荒らされてしまうということは、けっこうあるものであり、パワースポットブームなども、日本人が神社仏閣に目を向けるよい機会である反面、心ない行為によって、そうした場所の尊厳が損なわる場合もあるのである。
そのため、神社の側のほうが、写真を撮影されるのを嫌がって、いろいろと工作をしかけてくるということも、意外と多いものだ。
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