ポイント
鰐淵寺は、むかしは出雲大社の別当寺まで務めた由緒あるお寺なのですが、今ではおそらくは「知る人ぞ知る」という場所かもしれません。
場所柄、駅や高速道路とは離れていますし、自然保護のために駐車場から入口までもそれなりの距離を歩くことになるため、時間に余裕のない場合は厳しいと思います。
鰐淵寺の納経所を過ぎて石段を登ると、その先には大きな「根本堂」があり、脇に「摩蛇羅社」ほかの建物があります。
根本堂は大きすぎて写真に収まらないほど堂々として立派ですが、その前面はちょっとした芝生のある広場のようになっていますので、パワースポット巡りとしては、ここにしばらくたたずんでパワーをいただくのがよいと思います。
かつて弁慶が修行するほどの修験霊場だったところですので、荒々しくて始末に負えないような雰囲気を勝手に想像していたのですが、想像とは逆で、ひとことでいえば大きな包容力のようなものを感じます。
それも、「おかあんさといっしょ」ではなくて、「おとうさんといっしょ」の雰囲気だといえば、何となく特徴がわかっていただけるでしょうか。
根本堂とはまた別方向の道を進むと、「浮浪滝」と、滝の上部にはめ込まれた「蔵王堂」の建物があって壮観ですが、道が心もとないので無理をしないようにしてください。
この鰐淵寺では、納経所でご住職からお茶をいただき、しばらく立ち話をさせていただいたのですが、檀家でもないのにここまで歓待していただいたのは初めての経験でしたので、たいへん感動した思い出があります。
そうしたわけで、物見遊山を目的に来る人にはおすすめしたくはありませんが、本当に神社仏閣、あるいは手付かずの豊かな自然を愛するという人には、ぜひ訪れてほしい場所です。
案内地図
概要
- 所在地
- 島根県出雲市別所町148
- 交通手段
- 山陰道斐川インターから車で35分、駐車場から徒歩15分
- 電話番号
- 0853-66-0250
- ホームページ
- [リンク](出雲国神仏霊場)
- 本尊
- 薬師如来、千手観音
- その他
- 入口に無料駐車場。駐車場から徒歩。入山料大人500円。
寺号の「鰐淵寺」に関しては、智春上人が滝壺に仏器を落としたところ、淵から出てきたワニザメ(鰐)がエラに仏器を掛けて上人に捧げたという伝説があります。
また、この寺は古くから天台宗に属しており、本尊の薬師如来と千手観音は、入唐から帰京する途中の慈覚大師円仁が手ずから彫ったものといいます。
当地の出雲大社との関係も深く、中世にはこの鰐淵寺が別当寺となっており、また修験道の霊場としても栄えていたことから、この寺で修業をして源義経の家来となった弁慶の遺品や伝説も多く残されています。